VETS TECHでは数多くの著名な先生方とセミナーを行ってきました。
そんな先生方がどんな勤務医時代を送ってきたのか、どんな考えをしていまの選択をしたのかはなかなか知られていないと思います。
そんな先生方のキャリアを勤務医時代から深堀り(ディグ)していく企画、それが「ベッツディグキャリ~僕らの勤務医時代~」です。
勤務医の先生方の参考の一つになれば嬉しいです。
第二回は札幌夜間動物病院の川瀬先生をお呼びしました。
心臓外科に始まり、救急の夜明けに携わった獣医医療のパイオニアと呼べる川瀬先生。
どのような考え方をし、今に至るのかディグキャリしていきます!
ご経歴
- 先生のご経歴を教えてください。
- 千葉県で生まれ、大学は酪農学園大学に行きまして、大学を卒業して約15年ぐらいになります。
- 大学の研究室が麻酔の研究室に所属していたので、新卒の時から名古屋の病院で一般臨床に従事しつつ、麻酔をメインで見ていました。5年ほど勤務した後に、北海道の一次診療で循環器に強いグループ病院のところで、2件の病院で2年弱診察しておりました。
その中で、酪農学園大学の大学院に行くことにし、2014年1月から札幌夜間動物病院に勤務し、2018年3月に酪農学園大学で博士課程を取得しました。
勤務医時代
- 新卒の環境はどのような環境でしたか?
- 新卒の病院では、一次診療としてワクチンを打ったり皮膚病を診たりもしながら、心臓外科の麻酔も行っておりました。
- 同期の先生は2人いて、2人は非常に循環器に強い先生だったので、同期の2人から毎日循環器について教えてもらう生活をしておりました。
診療が終わって、3人でご飯を食べに行って、その後夜の12時から深夜の1時まで心臓のことを勉強したり、一緒に超音波を当てたりということを毎日1年~1年半くらい行っておりました。
- 勉強の方法はどのようなことを行っておりましたか?
- 人間の医学の教科書で心臓外科の勉強を行っていました。
- 当時はオンラインセミナーはなかったですし、対面のセミナーに若い先生が参加するのも実はあまり多くなかったんです。
また、院長先生が当時60歳ぐらいで毎日のように論文を読んでいましたのでその背中を見ながら、自分たちも勉強に励み、同期と日々ディスカッションしているような状況でした。
- その当時の心臓外科は獣医療の中でも夜明けの状態だったと思いますが、どのように難しい麻酔管理を行っていましたか?
- 当時は今ほど機械も充実しておらず、どうやったら出来るんだろうと日々考えていました。
- それこそ当時は低体温麻酔を行っておりましたので、水を凍らせて、それを袋に入れて動物の体に敷き詰めるという作業を行ったり、純酸素しかなかったものを普通のエアーと混ぜながら吸入したりと色々試行錯誤を行っていました。
それがいまでも機械がなくても乗り切れるように試行錯誤する基礎になったのではないかと思います。
一般的にはその場であるもので頑張ろうという発想しかない気がするので、試行錯誤して治療を行う知識や努力が衝撃でした。
- 心臓外科という新しい領域に踏み出す上で何か怖さのようなものはなかったのでしょうか?
- 若さなのか、攻める気持ちが強かったと思います。その当時の院長先生にはご迷惑をおかけしたかもしれないですが、何があっても全部面倒を見てくれるという安心感もありました。
- 新卒でのストレスはございませんでしたか?
- 勤めていてストレスだったのは、救えない命が多かったことです。当時の心臓外科の成功率は高いレベルではなかったので、亡くなる症例が立ち込んでくると精神的に参るようなことはありました。
- 人間関係は特に問題なかったのでしょうか?
- 人間関係で困ることは全くなく、みんなが目の前の症例に一生懸命で、部活のような感じで楽しい病院でした。 心臓外科がチームワークが大事だったところも大きいと思います。
- 最初の病院の生活はどんな生活でしたか?
- 8時から8時半くらいに入院管理をし始めて、9時くらいから診療が始まっていました。午前診療が終わると、当時は皆さん徒歩圏内の方ばかりでしたので、一回自宅に帰って、14時から手術という感じでした。夕方の16時から19時まで午後診療して、そこからもう1件手術がある日もあれば、1回ご飯に行ってから入院管理しに病院に戻ってました。そこから心エコーの練習をしたりしましたね。
当時は夜間病院がなかったので、夜間専用の携帯電話を当番制で誰かしらが持っていて、その電話を深夜の1時くらいまでは電話に出て対応していました。
入社して、2週間でその携帯電話を持たされていましたね…。わからないときは上の獣医師に相談したり、2階に住んでいた院長の扉をドンドン叩いて相談したりもしていました。
- 心臓外科での24時間管理は多かったと思いますが、休みが足りないと感じたことはなかったのでしょうか?
- 休みがないと感じたことはあまりなくて、むしろ勉強させてもらったという感じでした。
- 週1.5日の休みでしたが、休みが少ないことに関しては別に何も感じていなかったです。どちらかというと、学べる時間を与えてもらっているという感じでした。
本当にすごいメンタリティですね!
余談ですが、同期の先生が頑張りすぎたからなのか盲腸が破裂して、駐車場で倒れてて、患者さんに病院内に運ばれて来たことがありました…。
頑張り過ぎたのですかね…記事を読んでいる皆様も体調管理やメンタル管理には気を付けていただければと思います。
[引用:じゃらん.net]
後編では、そんな川瀬先生がどのように救急獣医療のパイオニアの一人となったのか、ディグキャリしていきます!
獣医学博士川瀬 広大 先生
札幌夜間動物病院
日本獣医救急集中治療学会理事長
日本獣医循環器学会認定医
RECOVER認定BLS/ALS指導医
北海道大学非常勤講師
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