
獣医師 服部幸先生のキャリアを深堀!(前編)|ベッツディグキャリVol.1|毎朝吐くほど辛かった勤務医時代
はじめに
VETS TECHでは数多くの著名な先生方とセミナーを行ってきました。
そんな先生方がどんな勤務医時代を送ってきたのか、どんな考えをしていまの選択をしたのかは、なかなか知られていないと思います。
そんな先生方のキャリアを勤務医時代から深堀り(ディグ)していく企画、それが「ベッツディグキャリ~僕らの勤務医時代~」です。
勤務医の先生方の参考の一つになれば嬉しいです。
ディグキャリ第一回目は東京猫医療センターの服部先生をお呼びしました。
猫ちゃんといえば、服部先生。そのようになるまで、どのような考え方をし、今に至るのかディグキャリしていきます!
ご経歴
2年後に転職して、グループ病院の本院で9か月間勤め、その病院が猫の分院を作ることになり、その立ち上げから参加して分院長として6年間勤めていました。その後独立して、現在の病院を開業しました。
勤務医編
2~4年はそのパズルのピースを1つずつ絵にしてやっと症例の全体像が見えてくる、そんな感じでした。最初は未熟だったなって思いが強く、一つ一つの症例と向き合えていましたか?って言われると、向き合えていなかったなぁと。
パズルのピースという表現がすごくしっくり来ました。
私自身も臨床をしているときに、知識がバラバラで繋がっていなかったりしていたので、ピースをはめて組み立てていく重要性を感じました。

パズルの完成
最初は目の前に16ピースのパズルがあって、「これ完成したら、出来るじゃん。」と思って始めるんだけど、いざ完成すると、実は周りに 300ピースぐらいの空いてるスペースがあるのが見えてきたんだよね。今度それを埋めていくと次は3,000、30,000ピースにどんどん増えていって、いまも新しいピースを探している状態。それが臨床の勉強のイメージかもしれない。
毎日吐いていた勤務医時代

話題は再び臨床の勉強の仕方へ…
大学の先生や講演会に登壇される先生のように、パワーポイントで自分の学んだことを整理すると、すごくわかりやすくなりました。綺麗にまとまっていないとスライドにならないし、パソコンで作っていると検索も出来るので、自分の頭の中の整理がうまくできるようになりました。
そのスライドはひたすら作ってて…いつの間にか1万枚作ったんです。
自分は猫の勉強をしようと思っていたので、猫についてのスライドを1万枚作ったときになんか一周したように感じました。
服部先生の猫について極めるまでの努力をヒシヒシと感じました。
そんな服部先生はどんな休日を過ごしていたのかディグキャリしていきます。
勤務医時代の休日に関して
結構1年目2年目の頃って、同級生みんな病んでるんですよ。「仕事しんどい」とか「今後どうする」みたいなので、飲みに行ったりはあったかも。
それこそ、なんかどっか逃げたいから友達と2人で新宿行って、最初に来た夜行バス乗ろうぜって言って夜行バス乗って、旅して帰ってくるとかやってたねー。
先生もしんどくて、吐きながらも頑張っている時代があるのだと、驚きました。さて、そこからの輝かしいいまにどう繋がっていくのかディグキャリします!
転職編

その当時は、やっとスペシャリスト・ジェネラリストという言葉が出始めた頃で、アメリカから日本に小林哲也先生が戻られて、先生の講演会を見て、すごくかっこいいなと憧れがありました。その中で診療科目の専門家を目指すのではなく、動物種の専門家になりたいなと思いました。
猫の分院を作りたい先生がいるという話を聞いて、その先生の下で猫の分院を始めようと考えました。

ただ、次に行ったところは何も言われない、自分のやりたいようにやっていいところでした。なので、自分でひたすら勉強するしかないと思っておりました。1人で勉強しても分からないこともあるので、同級生と後輩とオンライン勉強会をチャットで行っていました。
獣医師の仕事の中で勘違いしがちなこと
ざっくりだけど10頭いたら、7頭は自然に病気は治っちゃうんです。
ちょっとおなかが痛くたって、自分のことなら医師に診てもらいに行かずとも、治っちゃいますよね。7頭は自然に治るので、獣医師としては治る頭数を7頭から9頭にしてあげるのが仕事です。先輩に言われたのは、「10割の子を治せると思っているでしょ、治らないよ」「治ったのは自分のおかげだと思っているでしょ、犬が頑張ったおかげだよ」と言われました。私たちができることは、動物の治る力の後押しをしてあげることと、治そうとする力を阻害するものを取り除いてあげることだと教えてもらいました。
もちろん、最初のうちは治せる子を7頭から9頭にするということが大事ですが、どうしても1割くらいの子は治らない病気になってしまっています。いま思っていることは、その治らない1割の子とご家族が如何に幸せに過ごしてもらうかを大事にしております。
さいごに
服部先生とのお話を通じて診療における真髄の一部を見た気がします。
後半では臨床をやめようと悩んでいた服部先生が、どうやっていまのような輝かしい先生になられたのかディグキャリしていきます。
次回の記事をお楽しみに!
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2005年よりグループ病院の猫の分院長を務める。服部 幸 先生
東京猫医療センター 院長
2006年アメリカ テキサス州の猫専門病院 Alamo Feline Health Centerにて研修プログラム修了。
2012年に東京猫医療センターを開業し、院長を務める。
2014年より、JSFM(ねこ医学会)理事に就任。