
はじめに
"地域特集"とは、「求職者の地域による偏り」という業界の課題の一つに対し、地域にフォーカスを当て、魅力を伝えていくことを目的に様々な地域の先生方と対談していく企画です。今回は「岡山県」。先生方とお話して見えてきた「絆で繋がる岡山」とは?ぜひ読んでみてください!
対談にご協力いただいた先生方

藤岡 透先生
倉敷動物医療センター・アイビー動物クリニック 院長

大石 太郎先生
株式会社OneVET やさか動物病院 院長

上田 洋平先生
こくたいちょう動物病院 院長
- ズバリ、岡山の1番の魅力はどこですか?
- 大石先生:瀬戸内気候でとにかく天気がよくて過ごしやすいことですね。"晴れの国おかやま"とも呼ばれています。地震や台風など自然災害もとても少ないです。
藤岡先生:歴史的に商業が盛んな街なので、カフェにしてもアパレルにしてもこだわりを持っておりクオリティがとても高いお店が多い印象ですね。お客さんの目もしっかりしていて、その目に対してお店もモチベーションが高く革新的な取り組みをしています。特に流行に敏感な若者の心を掴むようなお洒落なお店が増えてきているように感じます。美観地区は、古い佇まいで小京都と言われています。奥行きのある長屋のようになっており庭先でコーヒーを飲めたり、地元の素材を使ったお店が入っていたりといい雰囲気です。美味しいものが食べられ、歴史も感じられる魅力的な街だと思います。
上田先生:岡山はちょうどいい田舎だと思ってます。交通の便は割とよく都会すぎず田舎すぎず本当にちょうどいいです。昔からの県民性もあってか、商売に厳しい街なので中途半端なお店はすぐ潰れてしまいます。そのため、その中で生き残るような技術の高い方が多いです。ご飯も安くて美味しいですよ。またこれも県民性なのか一旦仲良くなったら深く仲良くなれる方が多いです。酒どころでバーもたくさんあるのでおすすめです。温泉もありますし、冬にはスキーなどもできアウトドアも十分楽しめます。
岡山に来たら是非食べてみてほしい!先生方のイチオシグルメ
岡山に来たらついでに行きたいイチオシ温泉
話は岡山の獣医療へ
- 岡山県の県民性はどういった感じですか?
- 藤岡先生:岡山県民は、こだわりが強く意見が厳しい方が多いです。診療価格の価値にあったことをしてもらえているか、しっかり向き合ってもらえているかを見極めている飼い主さんは多いです。病院を使い分けしている方もいらっしゃいます。
上田先生:たしかに厳しい目を持たれている飼い主さんは多いですが、信頼を得ることができればとても話は早く納得していただけて、距離が近く親密な関係になれます。
- 獣医師のコミュニティについて教えてください
- 藤岡先生:"岡山県獣医師会"は、とにかくとてもみんなの仲がいいです。県獣医師会学会の演題の多さは研究や医療に研鑽する力、熱心な度合いと比例して、なんと毎年30~40演題あります。災害時の動物救援活動なども行い、ヒトと動物の共生する社会環境の健全な発展を図っています。
大石先生:"OMOI"という岡山の獣医師達が「オモイをカタチに」するため起ち上げたプロジェクトがあります。一人の思いはみんなのOMOIになり、診療連携やリクルート、学術交流など、さまざまな活動を展開していきます。獣医師だけでなく、看護師さんやトリマーさん向けのセミナーも行っています。ドイツの森で行われた「 飼い主のマナー向上」「 犬猫のボランティア活動への支援」 がテーマの犬と一緒に楽しめるマルシェ・イベント「しっぽいち」というイベントにも参加しました。(OMOIのホームページはハイセンスすぎて見ながら笑ってしまいますのでみなさま是非覗いてみてください)
大石先生:"OKAVETS"という100名ほどのメンバーがおり、zoom勉強会、飲み会を通して交流し情報交換を目的とした和気藹々としたコミュニティもあります。
藤岡先生:テニス部、釣り部、ラーメン部(食べるのではなく作る方)などの部活があります。テニス部はチームを作り全日本獣医師テニス大会に出場していますね。
- 地域の獣医療の今後の課題はありますか?
- 藤岡先生:夜間救急を行なっている病院がほとんどなく、倉敷で1ヶ所のみでそれも21時から24時までです。
大石先生:岡山県には大学病院がありませんが、眼科で有名なナディア動物クリニックの瀧本先生がいらっしゃったり、歯科で有名な江口先生が訪問診療を行ってくださっています。しかし、その後を継ぐような若い先生がいません。継続性がないとこの地域の獣医療は発展していかないので解決したい課題であり、OMOIを通して今後取り組もうと思っています。都市とは違い地方ということもあり人が集まらないことも課題です。
- 岡山で積めるキャリアは具体的にどのようなものがありますか?
- 藤岡先生:得意分野のある病院には症例を紹介するため、専門的な知識をつけたいと思えば他の病院で勉強することができます。例え違う病院に勤めていたとしても、どの先生に聞いても全て包み隠さず教えてくれます。知識を独占することがありません。まだ実現していませんが、専門性を強くしたいので地域で研修医を雇用するという意見も上がっています。都会に比べてなんでもすぐに紹介するというわけではなく、病院である程度完結させないといけないため幅広く学ぶことはできると思います。紹介したように若い先生が中心となっているコミュニティが多く、勉強会も頻繁に行われているため楽しく学ぶことができます。
- 岡山での生活はどのようにイメージしておくとよいでしょうか?
- 上田先生:車は必須ですね。気候は晴れの国と言われているくらいなので晴れが多くとても過ごしやすいです。
藤岡先生:家賃は、倉敷でワンルーム6~8万円程度と高めですが少し離れると安くなります。家賃補助を出している病院も多いですよ。ラ・ムーという激安スーパーもあります。
- 最後に皆さんにとって岡山とは?
- “絆”です。たてよこななめ全ての繋がりが強くまた老若男女の壁もなく、わからないことは助け合い、持っている知識や技術は余すことなく伝え、一番に動物のことを考えています。
若手の力が表面化し、みんなを包括して高めていきそれをご年配の獣医師の皆さまも受け入れてくだっています。働いていて楽しく幸せです。
獣医師だけでなく、病院と患者様、人と動物、とても密に繋がっています。
絆で繋がる岡山
最後にその絆の強さが集約されている岡山県獣医師会のお写真をご覧ください!(COVID-19前の写真です)

もう一度言います、こちら岡山県獣医師会の写真です。(笑)獣医師会と言えばお堅いイメージがあったのですが、とても楽しそうです。いい意味で大学のサークルのような、和気藹々とした仲の良さが滲み出ています。この日はイケメンコンテスト!?が行われたようです。
今回取材に協力してくださった先生方、お忙しいところとても楽しい充実したお時間をありがとうございました。
編集後記
皆さん岡山特集はいかがでしたか?
岡山県の魅力は伝わったでしょうか?観光でもいいので行ってみようと思ってくださった方がいると嬉しいです。岡山県小動物獣医学会はどなたでも大歓迎のようで8月の第1週に行われるそうですので是非!
最後に岡山に行ったら併せて観光で行っていただきたい動物園・水族館・博物館紹介写真もおまけでつけましたのでよろしければご覧ください!
・池田動物園
岡山市にあり園の大半が山中にある山を利用した動物園です。キリンやシマウマなどの大型動物もおり動物の数は100種を超え、岡山県内で最大規模となっています。
・渋川動物公園
園内3万坪、自然のままの野山を散歩するような動物園です。動物達とのふれあいを重視しており、約80種600頭羽がいます。
・渋川マリン水族館
昭和28年に開館した歴史ある博物館で水族館と陳列館からなります。水族館は大小34個の水槽に瀬戸内海の種を中心とした日本各地の海洋生物を約180種2000点を飼育展示。屋外にはキタオットセイ・ウミガメといった海獣類もいます。
・倉敷自然史博物館
倉敷・美観地区すぐ近くの自然史博物館です。岡山県内の動物,昆虫,地学,植物についての常設展示や特別展があります。ナウマンゾウに会うことができます。