
はじめに
地域にフォーカスを当て、魅力をお伝えしていくこの企画。第4弾は長野県です!
開業されている3名の獣医師の先生方にインタビューさせていただきました。
対談にご協力いただいた先生方

土屋 文人先生
佐久平マール動物病院 院長

増山 浩一先生
あおぞら動物病院 院長

桃﨑 昂先生
深志動物病院 副院長
- ズバリ、長野の1番の魅力はどこですか?
- 土屋先生:長野は晴天率が高いです。標高が高いからかもしれませんが、空が青く、すがすがしい気分になります。
桃崎先生:やはり自然が豊かなので、少し行くと絵になるような風景がたくさんみられます。白馬にはハイジにでてきそうなブランコがあり、海外のよう。
増山先生:山登りやツーリング、キャンプ、グランピング、星空がきれいなので、アウトドアが好きな人は楽しめますよ。
桃崎先生:ウィンタースポーツのイメージが強いので雪が多いと思われるかもしれませんが、少し離れると多いというだけで、佐久や松本の市街地はあまり多くはありません。
土屋先生:あとは温泉がたくさんあります。車でふらっといける温泉がちょこちょこあったり、高峰温泉には標高2000mの温泉があります。四柱神社は最強のパワースポットとしてゲッターズ飯田さんが紹介しているようです。
増山先生:水が良質なので、米や野菜など、食材の素材が良くておいしいと思います。蕎麦、酒、ワサビなど有名ですよね。佐久市には酒蔵があります。お城などの歴史的建造物が好きな人であれば松本城、善光寺などがあります。
長野に来たら是非食べてみてほしい!先生方のイチオシグルメ
温泉も多いのが長野の魅力!
話は長野の獣医療へ
- 長野の県民性はどういった感じですか?
- 土屋:長寿の県、男女ともにトップ3に入ります!
増山:とても真面目ですよね。
桃崎:Uターン、Iターンの人が増えているので新しい風が吹いている印象です。コロナ渦でリモートワークが定着し、都心から長野へ移住する人が増えました。佐久に至っては東京から1時間半程度で来れる距離なんですよ。神奈川で勤務医をして長野に戻ってきたとき、長野の飼い主さん達は動物への医療に対して、地理的、物理的な制約があり、正直できないことも多いだろうと思っていました。でもこちらがちゃんと話すと、とことんやってほしいと言ってくれる人の方が圧倒的に多く、私の思い込みでしたね。
増山:ここの地域から離れられないけれど、ここでできることは全部やってほしい、みたいに考えている人が非常に多いと感じますね。信頼関係さえ築ければ、何でも任せてくれます。差し入れもよくいただきますね、お菓子、漬物、野菜とか。病院の前に置いてあるけど誰が持ってきてくれたか分からない、みたいな笑
土屋:信頼関係ができると距離がぐっと縮まるし、離れないですね。僕の病院が休みの日に増山先生の病院で診てもらった飼い主さんがいたようで、その方から後日、どっちの病院に行けばいい?と相談されたこともあります笑
増山:真面目がゆえに黙っておけないような感じですかね。飼い主さんに対するストレスはほとんどないですね。
土屋:だからこそなんでもやってあげたい、自分がやらなきゃ、という使命感に繋がる部分もあります。
- 獣医師のコミュニティについて教えてください
- 増山:長野県獣医師会は松筑(ちくほく)支部、佐久支部、上小(じょうしょう)支部など、色々な支部がありますが県全体だと広いので、各支部で主に活動しているようです。
桃崎:年齢層によって分かれている感じはどうしてもありますが、獣医師会以外のコミュニティがちょこちょこあると思います。
土屋:例えば長野わかめ(若め?笑)獣医会、という集まりがありますね。その中で外部の先生を呼んで勉強会をしたりしています。中島亘先生や塗木貴臣先生、入交眞巳先生、名古屋の先生、マレーシアの先生など多くの講師も来てくださっています。
桃崎:自分は地元に帰ってきた当初はあまり人脈もなく、これからどのようにやっていこうか迷っていました。そんな中、増山先生と土屋先生とは長野市であったレクチャ―シリーズがきっかけで出会い、一緒に色々と活動させていただくようになったと記憶しています。その後コミュニティができてからは、それぞれの獣医師が自分の人脈で専門の先生を呼んで勉強会をするようになりました。タイミング的にもzoomやwebミーティングが広まった時期だったので、勉強したい先生同士が繋がれるようになり非常に楽しい会になっています。
増山先生:獣医師会自体は定期的に活動があって、その勉強会に参加する先生たちで徐々に、さらなる勉強会をするようにもなってきたような流れですね。長野県はとても広いので、獣医師会全体で色々やるのは難しく、それぞれの支部ごとにはなりますが、支部ごとは仲が良いと思います。東京から近いので、都心部の講師が来やすい、という点もあります。あと松本には空港があるので札幌や福岡、神戸も意外と近いですよ。
- 地域の獣医療の課題はありますか?
- 増山:やはり夜間ですね。
土屋:しっかりした夜間を作りたいという考えはあるのですが。
桃崎:あと2次診療施設が遠いですね、CTがある病院も少ないです。その分、質の高い医療を提供するために、普段から専門の先生から勉強会で学んだり、実際に先生に来てもらって、一緒に手術を行うことも少なくありません。また、勉強会メンバーの先生が近い将来にCT導入を計画されています。得られた画像を用いて、専門の先生からさらなる指導を受けられるように皆で協力しようという話も出ています。
土屋:僕は少し逆のことも考えていて、近くに頼れる病院はないからうちでやるしかない、やりましょうという気になります。自分の実力+αを狙っていくので大変ですけどチャレンジできます。
増山:県民性のところとも繋がりますが、遠くに行くくらいなら先生のところでやってくださいという流れになりますよね。
桃崎:なんとかしてくれ、というオーナーに対して応えようとする獣医師が多いのもあります。
- 長野で積めるキャリアは具体的にどのようなものがありますか?
- 土屋:自分でどうにもならないときは、同じ地域の他の先生と協力する、それでもカバーできない部分は専門の先生に助けてもらう、というやり方でやっています。そこから学べるものは大きいです。
増山先生:勉強会の後は飲み会をしていますが、勤務医の先生達も参加してくれるので、横のつながりも多いと思います。あまり垣根がないから、違う病院同士の獣医師も繋がっていますね。
桃崎:個々の病院で単独に、というよりみんなで知恵を出し合って解決していこう、といった雰囲気ができていると思います。なので、この病院の方法しか分からない、ということはないと思います。開業に関しては、松本では事業継承したい先生もいますし、新規開業のチャンスも多いと思います。
増山先生:新規開業でいえば、長野県では松本が第二の都市、上田が第三の都市ですが、それらの地域で動物病院がだんだん空白になってきている印象があります。あとは軽井沢もかなりの需要がありそうです。軽井沢はより都心からの移住者が多いため、客層もやや都心よりのイメージです。
- 長野での生活はどのようにイメージしておくとよいでしょうか?
- 桃崎:家賃はとても安いです。松本は駅近にさえこだわらなければ新築、3LDK、駐車場2台で約8.5万です(現在の自宅です笑)。1LDKなら6万前後であると思います。松本駅付近だと車無しでも生活できますが、車があった方が色々な場所にアクセスしやすいです。
土屋:僕が住んでいる佐久市だとワンフロア110平米、駐車場1台ついて7万円であります。車があればレジャーも何でもできると思います。一軒家を借りて大型犬を飼いたい、とかもできますね。
増山:あと松本市も佐久市も、自治体からの補助金が出る制度があり、移住支援がありますよ。

インタビューをお受けいただいた3名の先生方、この日は温泉に同行させていただき、長野の魅力をおしえていただきました!
さむいけどあったかい、長野
- 最後に皆さんにとって長野とは?
- 土屋:帰ってきてよかったなぁと思えるところです。
桃崎:災害や事件が少なく、安心安全。地震に強いです!
増山先生:温泉や食べ物で体も心も整います!
土屋:寒いけどあたたかいですよね。あたたかいふるさと、長野。
今回のインタビューを受けてくださった先生方はもともと長野県に住んでいたので、長野県出身ではない勤務医の先生からもご意見をいただきました!
- 長野県出身ではない方から見て、長野県ってどんな場所ですか?
- 長野は田舎すぎるということもなく、観光地が周辺に多いため楽しいです。東京までも近いですし、新幹線や高速道路もラッシュ時でも空いています。(東京へ向かう人と逆方向なので)
ただ、電車などの公共交通機関は不便、ガソリン代が高いといった点はデメリットに感じます。夜遅くまでやっているお店が少なめ、長野市や松本市にしかデパートがないといった不便さもありますが、おいしい和食屋さんがとても多いのと、意外かもしれませんがケーキ屋さんも多く、住むと色々楽しめると思います。
編集後記
いかがでしたか?
今回は長野県の先生方にお話を伺いました!
インタビュー中も先生方の仲がとても良く、病院は違っても普段から診療で協力し合っているのだろうということが、とても伝わってきました。
今回の特集で長野に興味をもってくださる方が増えると嬉しいです。
お忙しい中ご協力していただきました先生方、ありがとうございました!