
VETS TECHでは数多くの著名な先生方とセミナーを行ってきました。
そんな先生方がどんな勤務医時代を送ってきたのか、どんな考えをしていまの選択をしたのかはなかなか知られていないと思います。
そんな先生方のキャリアを勤務医時代から深堀り(ディグ)していく企画、それが「ベッツディグキャリ~僕らの勤務医時代~」です。
勤務医の先生方の参考の一つになれば嬉しいです。
第二回は札幌夜間動物病院の川瀬先生をお呼びしました。
前編では川瀬先生の異常なバイタリティを知り、循環器外科のお話しをお伺い出来ました。後編では、川瀬先生の救急獣医療のパイオニアになるまでのお話しをディグキャリしていきます!
転職編
- 転職しようと思ったきっかけはなんですか?
- 「北の国から」を夏場にやっているのを見て、また北海道に行きたいなと思いました。 富良野と旭川の2病院を週3と週2で診療しておりました。
- 実はその2病院の院長先生が食道がんになってしまって、人がいなくなってしまったので、その後を埋めるように診療し始めました。
5~6年間、心臓外科で突っ走ってきて、少しちょっと疲れてきたのもあったかもしれないです。

- どのようにして知った病院様だったのでしょうか?
- 名古屋にいた際に、一度母校の酪農学園大学で心臓外科の手術を行ったことがございまして、その際にお会いした先生でした。
- 転職して、環境は大きく変わりましたか?
- 夜中も付きっ切りでいなきゃいけないみたいな環境ではなくなりました。また、いままではずっと院長先生の下でやっていたのが、今度は自分が院長的な立場で動かさないといけないところが変わったと思います。
- 誰に頼っていいというのはあまりなく、自分で判断しなきゃいけない、頼る人のいない環境に身を置いたのは初めての経験でした。
出会いを大事にするのは肝心ですね。
- 環境の変化でのストレスはなかったのでしょうか?
- 不安なのが、一番のストレスでした。色々やらせてもらえる反面、その責任は常に自分が追わないといけないのは少し大変でした。
院長編
- そこからどうやって札幌夜間動物病院に行き着いたのでしょうか?
- まずは、大学院に所属し始めたのが、第一段階です。 そのため旭川と富良野の病院に行きながら、酪農学園大学に行くのはちょっと難しくなってきました。
- 当時はどちらかというと、大学院に行きながら生活する上で、夜の時間であれば働けるなと考えました。それで札幌夜間動物病院で働きながら大学院に行くことにしました。それが救急の現場に飛び込んだ形です。
そもそも救急にすごく興味があったわけではなく、巡り合わせですね。
- 初めての救急はどのような印象でしたか?
- 救急の現場で、状態が急変したり心肺停止したりする患者さんの数に衝撃を受けました。札幌夜間動物病院でもっと救命率を上げられないか探り始めました。
- 自分で調べていくと、アメリカの方で心肺蘇生の新しいガイドラインが出てきており、アメリカは動物救急医療の領域がかなり進んでいることを知りました。
こうして、救急に関して学んでいると、これまで学んできた循環器や麻酔の知識と非常に相性がいいなと気づきました。
- 救急の現場に飛び込んで、何とかやっていけるだろうという自信はあったんですか?
- 自信はなかったんですけどね… もうそれこそ救急の現場はあんまり考える時間もなくて、目の前にあるものに次々に向き合っていくことが必要でした。
- 新卒の時は心臓外科チームといった感じでのコミュニケーションでしたが、救急の現場はスタッフ全員でどうしたら救命率が上げられるのか考えておりました。

- そんな川瀬先生がJaVECCS(日本獣医救急集中治療学会)の理事になるまでに至った経緯を教えてください。
- 同世代がそれぞれ違う場所で、救急をやっていて、集まる機会があって、そこで日本の救急医療をもうちょっとどうにかしていこうよという流れが出来てきました。
- これまで学んできた循環器との親和性に気づいた時期でもあって、なんか救急って楽しいなって思ったり、救急をもっと業界全体に伝えていきたいと思ううちに、救急にはまっていきました。
やってみたらはまったし、一緒に頑張る仲間も見つけていきました。
日本では、救急っていうものが元々充分ではなかったので、0から1を作っていくといった感じでした。
新卒で心臓外科を0から始めた経験が生きていたと思います。
ここで気づいたのは、いろんなことをやりたいと思ったときに、やっぱりスキルがないとだめなんだろうなと思いました。そして、これまで闇雲に目の前のことをやってきて、何か少し生かせる場が救急の現場だったように思います。
- 川瀬先生の熱中して向き合う力がすごいなと思ったのですが、その根源はどこから来ているのでしょうか?
- 難しいからこそ挑戦するっていうのが、まぁ楽しいというか、変態なのかもしれないです。

- 川瀬先生のこれからを聞かせてください!
- 救急が好きな人が救急を続けられる場所を作るのが、いまの1つ目の目標です。
- どうしても夜間救急だと、3年とか5年とか勤めて辞めていく方が多いです。それは体力的にしんどいからというのが一定数居るかなというイメージです。夜の救急だけでなく、昼の救急も診たりとか、救急に興味のある人が昼もしっかり働ける環境を作るのが目標です。
もう一つは、大学のような本当の教育現場で救急を学べるようにしたいと思っております。救急ってこういう分野で、おもしろいなと思ってもらえるようにするというのが、死ぬまでに僕がやる仕事かなって思っております。
- 救急に興味はあるものの、あと一歩踏み出せない先生に救急の意外な魅力を教えてください。
- 救急のイメージとして、ハードなイメージがあると思います。しかし、救急の現場は週に4日しか働かなかったり、朝方にはホームドクターに返すので、入院患者さんがそんなに多くなかったりするので、実はプライベートの時間がしっかり取れるんです!
救急獣医療の現場はハードなイメージでしたので、しっかりプライベートの時間が取れるのは意外な一面でした!
この記事を見ていただいて、実際に救急の現場で働いてみようと思ってくださる方が1人でも出て下さったらいいですね。
さいごに

- ベッツディグキャリを読んで下さった勤務医の皆様にひとこと
- 勤務医の皆さん、もちろん待遇等で職場を判断するのは大事だと思うんですけど、やっぱり自分の好きな分野を見つけてとことん学べる場所を探してもらうというのが長い目で見た時に自分のスキルになって役に立つことがあります。それを見つけるコンテンツの1つとして、VETS CAREERを活用するのもいいのかなと思います。
獣医学博士川瀬 広大 先生
札幌夜間動物病院
日本獣医救急集中治療学会理事長
日本獣医循環器学会認定医
RECOVER認定BLS/ALS指導医
北海道大学非常勤講師
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