獣医師 平川篤先生のキャリアを深堀!(前編)|ベッツディグキャリVol.4|探求心が導いた獣医師のキャリア
獣医師 平川篤先生をディグキャリ!
「探求心が導いた獣医師のキャリア」:大学院と臨床を両立し循環器への道へ進んだ挑戦の軌跡
VETS TECHでは、数多くの著名な先生方とのセミナーを実施してきました。
そんな先生方がどのような勤務医時代を過ごし、どのような考えから今の選択をされたのか、意外と知られていないのではないでしょうか。
そこで今回、先生方のキャリアを勤務医時代から深掘り(ディグ)していく企画「ベッツディグキャリ~僕らの勤務医時代~」をお届けします。
勤務医の先生方のキャリア形成の参考になれば幸いです。
第4回は、ペットクリニックハレルヤの総院長であり、日本循環器学会認定医、そしてVeterinary Cardio Night LIVEでもおなじみの平川篤先生にご登場いただきます。
前編では、キャリアの原点から循環器分野への道、そして平川先生の学びの姿勢を紐解きます。
どのような考え方をし、ここまでのキャリアを築いてこられたのかを徹底的にディグキャリしていきます!
キャリアの原点:大学院と臨床の両立
- 大学を卒業して、どのようなキャリアを歩まれましたか?
- 大学院と臨床を並行していました。
- 鹿児島大学を卒業後、恩師の先生から声をかけていただいたこともあり、大学院への進学を決めました。当時の大学院は今ほど厳しくはなかったため、大学院に行きながら動物病院でも働くことを決意しました。
具体的には、週に4回は小動物臨床での勤務、週に2回は大学院へ通学するというスケジュールでした。
当時は週一休みが当たり前だったため、この生活も全く苦ではありませんでした。

- 小動物臨床はどのような現場に勤められていましたか?
- 「ゆりかごから墓場まで」を実現している病院でした。
- 子犬の管理や繁殖サポートから、終末期ケアまで幅広い診療を経験させていただき、この現場で相当鍛えられました。
また、病院の隣にはペットショップがあり、そこで販売されていた子犬が低血糖で倒れていることもありました。
そのような急患対応から診療が始まる日も多かったですね。
- 新卒の時から循環器には興味があったのでしょうか?
- 最初の4年間はとにかく一般診療のレベルアップに専念していました。
- 当時の一般動物病院では、カラードップラーすら搭載されていないエコー機器がほとんどでした。腹部エコーは使用していましたが、心エコーに関してはほとんど見ることができませんでした。
大学院では肺水腫のモデル犬を使った研究を行っていましたが、臨床現場では一般的な診療を行い、基本的なスキルの向上に努めていました。

- 勤務医時代の苦労がございましたら、教えてください。
- 夜中にポケベルで呼び出され、帝王切開を行うことが頻繁にありました。
- そのような状況は大変でしたが、間違いなく勉強になったと思います。当時の院長先生が何でも挑戦させてくださる方で、そのおかげで多くの経験を積むことができました。本当に感謝しています。
- どのように勉強はされていましたか?
- 昼間と夜では違う勉強をしていました。
- 昼間は、現場で目の前の症例に対し、わからないことがあればその場で調べて解決し、知識として吸収していました。
一方で夜は、臨床から一度離れて研究に集中し、理論や新しい知見を深める時間にしていました。この切り替えが、効率的な学びにつながったと思います。
- 休みの日はどのように過ごされていましたか?
- 正直、あまり記憶がないんですよね…
- 趣味らしい趣味も特に持っていなかったので、当時お付き合いしていた彼女と出かけたり、興味が湧いたことを調べたりして過ごしていたと思います。日常の延長のような感覚でしたね。
ペットクリニックハレルヤへの転職と循環器の入り口
- ペットクリニックハレルヤに転職したのはどのような理由でしょうか?
- 福岡での学びの機会を求め、転職を決意しました。
- 大学院を無事に4年間で卒業し、鹿児島の病院からも引き留められましたが、九州で一番の都市である福岡で臨床をしたいと考えました。
そんな中、ペットクリニックハレルヤの院長先生から社員旅行の間の代診を頼まれ、診察を終えた帰りの車中で「今後どうするのか?」と問われました。
私が「まだ決まっていません」と答えると、粕屋病院の院長ポストが空いているとお誘いをいただきました。
鹿児島大学卒業の方が多く在籍する、信頼できる病院だったことも決め手でした。
当時は獣医師2~3人で160件の診察をこなす日々で、大変ではありましたが、とてもやりがいがありました。

- 現在平川先生は循環器を得意とされていらっしゃいますが、どのようなきっかけがあったのでしょうか?
- カラードップラーとの出会いが、私の循環器への道を切り開きました。
- ある犬の聴診中、それまで聞いたことのない雑音が確認されました。
当時、心エコーで診断できる病院は少なく、カラードップラーもほとんどありませんでした。
そのため、九州で有名な先生に診断を依頼すると、簡単にPDA(動脈管開存症)と診断が付きました。
この時、カラードップラーの可能性に衝撃を受け、すぐに九州画像診断研究会に所属しました。
その後、満を持して、当時1000万円という高額なエコーを導入しました。
この選択が、循環器診療に力を入れる大きな第一歩となりました。
また、PDAの症例は最終的には亡くなりましたが、その際に剖検を経験させていただき、病理医とのつながりを得たことで剖検の重要性も学びました。その後は循環器学会に所属し、熱意あふれる先生方の研究発表を通じて、私自身も先輩方の背中を追うように循環器分野にのめり込んでいきました。
- 先生の学びの貪欲さはどういったところからきているのでしょうか?
- やっぱり「知らないことがわかる」って楽しいんですよね!
- 私の座右の銘は「探求心」です。
わからないことをそのままにせず、必ず解決することを心がけています。悩んでも解決できないときは、恥ずかしがらずに人に聞くことが大切だと思います。
小動物臨床にはさまざまな分野がありますが、全てを均等に伸ばすのは難しいです。そのため、近くにいる先生方に相談しながら診療を進めることで、多くを学び、成長してきました。

- 先生はどんな方にも優しく接していらっしゃって多くの先生方から慕われている印象があります。それは心掛けてらっしゃるのでしょうか?
- 素晴らしい先生方の接し方を見て、学ばせていただいた結果です。
- これまで多くの先輩方に接してきましたが、そういった方々が私にしてくださった「接し方」を後輩にも伝えたいと常に考えています。
また、学術的な意見の違いがあっても、それで対立しても意味がありません。同じ専門性を持つ仲間として協力し、楽しく学んでいくことが最善だと思っています。
平川先生は大学院と臨床の両立を経て、一般診療のスキルを高め、循環器分野への道を切り開いたことが分かりました。また、人とのつながりを大切にし、学び続ける姿勢はディグキャリを読んでくださっている皆様の参考になったのではないかと思います。
後編では、総院長に就任した経緯を始め、循環器分野への情熱や臨床家として何を大事にしているのかをディグキャリしていきます!
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平川 篤 先生
ペットクリニックハレルヤ 総院長
自分の持っている知識と経験を基に、病気で苦しんでいる動物を助けたいと思います。そのためには、現状の知識に満足することなく、飼主様の希望に添えるような治療法を常に心掛け、最新の獣医療を提供する ための勉強を継続しています。
好きな分野:循環器、外科
認定資格:日本獣医循環器学会 獣医循環器認定医
所属:動物臨床医学会、日本獣医循環器学会、獣医麻酔外科学会、
九州画像診断研究会代表、鹿児島大学小動物臨床フォーラム、
福岡県獣医師会

外西 弘昌
VETS CAREER運営事務局
「ベッツディグキャリ~僕らの勤務医時代~」をより多くの獣医師・獣医学生に届け、キャリア形成の一助にしていただきたいです!
